スマホやゲームが日常の一部になった今、「勉強に集中できない」と悩む保護者は多いですよね。塾講師として見てきた実例をもとに、家庭で試せる具体的な工夫をやさしく紹介します。
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なぜ子どもはスマホやゲームに夢中になるのか
子どもがスマホやゲームに惹かれるのは自然なことです。ゲームは「目に見える成長」と「短いサイクルでの達成感」を与えてくれます。たとえばレベルアップ、アイテム獲得、ランキング…これらは短時間で達成感を味わえる仕組みです。
脳科学的にいうと、ゲームで得られる小さな成功体験は脳のドーパミン報酬系を刺激します。この報酬系が活性化すると「もっとやりたい」という気持ちが強くなり、集中力もその対象に向かいやすくなります。
一方、勉強は成果が出るまで時間がかかるため、即効性の報酬が少なく、脳は刺激が弱く感じます。だから「ゲームの方が楽しい」「勉強はつまらない」と感じやすくなるのです。
この理解を持つだけでも、親として「子どもが悪いわけじゃない」と前向きに捉えられるようになります。
そもそも大人も楽しめるゲームは子どもも当然楽しいに決まっています。
「ゲームをすること=悪」ではなくどのように付き合っていくのかが重要です。
ゲームとうまく付き合える子に共通していること
塾で多くの子どもを見てきて感じるのは、ゲームが好きでも学習面で安定している子には共通点があるということです。それは「自分でコントロールできる」ことです。
具体的には、「夜9時までゲーム、そのあと30分は勉強する」といったルールを自分で守れる子です。親や先生が押し付けるルールではなく、子どもが納得して守るルールの方が、責任感と達成感が育ちます。
また、家庭でゲームがタブーになっていないことも重要です。「ゲームやめなさい」ではなく、「どんなゲームをしているの?」と親が興味を持つことで、子どもは安心して話せる環境を作れます。この安心感が学習の意欲にもつながります。
実例(匿名)
ある生徒は親がゲームに関心を持って聞いてくれるようになってから、親子での話し合いが増え、親と相談しながら自分で「宿題→読書→30分ゲーム」というルールを作りました。その結果、学習時間が安定し、通知表の評価も改善しました。
他にも、ゲーム内での目標を設定して計画的にプレイできる子は、勉強でも「計画→実行→振り返り」が自然に身についています。意外とゲームの達成感や戦略思考は学習面にも活きるのです。
家庭でできる“両立のコツ”3つ

① 「やること→やりたいこと」の順番をルール化する
まずはシンプルに。「宿題が終わったらゲームOK」という流れを作るだけで、やるべきことの優先度が明確になります。ただし「終わったら無制限」ではなく、遊ぶ時間や終了のルールも一緒に決めると効果的です。
さらに、親子で時間の見える化をするとより分かりやすいです。たとえばホワイトボードに「宿題→読書→ゲーム30分」と書いておくことで、子ども自身も今日の予定が視覚的に確認できます。これだけでも自己管理力が高まります。
② スマホやゲームを“ごほうび”にしすぎない
「テストで点をとったらゲーム時間を増やす」といった報酬型ルールは短期的には有効ですが、長期的には逆効果になることがあります。勉強自体が“罰”に感じられ、内発的な学びの意欲が育ちにくくなるからです。
理想的なのは、ゲームを日常の一部として扱うこと。「やることを終えてから気持ちよく遊ぶ」――この流れを繰り返すことで、勉強も自然に前向きになれるようになります。
親としては「ごほうび=楽しいもの」という意識を薄くして、「習慣の一部」として取り入れることを意識すると良いです。
③ ゲームの中の“努力”をちゃんと認めてあげる
ゲームでの戦略づくりや仲間との協力、繰り返しの練習は立派な努力です。親が「なるほど、そんな戦略を立てたんだね」と興味を持って聞くだけで、子どもは認められたと感じ、安心して学習にも取り組みやすくなります。
また、ゲーム内での失敗経験も大切です。「負けて悔しい」という経験は、忍耐力や分析力を育てます。親が一緒に振り返りの会話をしてあげることで、学習面でも同じ思考の癖を育てられます。
ワンポイント: 親がゲームに興味を持つことで、子どもは自然と「報告」「相談」をしてくれるようになります。これは学習の習慣化にも繋がる大切な土台です。
デジタル時代の学び方をどう考えるか
現代の子どもたちは生まれたときからデジタルに囲まれています。だから「デジタル=悪」と決めつけるのではなく、「どう活用するか」を考えることが大切です。
YouTubeの学習チャンネルやAI教材、学習アプリは年々進化しています。スマホを“学びの入り口”として使える工夫を家庭で取り入れると、勉強のハードルが下がります。例えば:
- 短い動画で解説を見て、ワークをこなす
- ゲームの戦略やランキングを、学習アプリのポイント管理に応用する
- 学習記録アプリで達成感を可視化する
こうした方法で、「デジタル=学習の敵ではなく味方」に変えることが可能です。
まとめ:スマホもゲームも“敵”じゃない
親としてはつい「減らしたい」と思いがちですが、完全に取り上げるのは根本解決にはなりません。大切なのは「何をどれくらい使うか」を親子で話し合い、子ども自身に考えさせることです。そして、うまくいったときにはちゃんと褒めてあげましょう。
スマホやゲームをうまく使いこなす力は、これからの時代に必要な「学ぶ力」に繋がります。親の理解から、いい関係作りが始まります。




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